二人が手を振る様がうらやましかった話。

先日、出勤途中に50代のご夫妻を見かけた。

私の知っている方たちで、でも私は二人からは離れた位置にいて、二人は私のことは見えていなかったと思う。

運転席に妻。助手席に夫。
どうやら、妻が夫を送ってきた様子だった。

夫が車を降りるとき、短い言葉を交わして、お互いに手を挙げて
「じゃあね」といったジェスチャーでお別れをし、妻は車を動かし始めた。

その時間は、ほんの3,40秒くらい。

でも、二人のあいだの「じゃあね」のジェスチャー
しっかりとした信頼感が感じられた。
きっと、二人にとっては何気ない日常のことだったと思う。

実はこのご夫妻は10数年前に大きな揉め事があり、周りにいた多くの人が
パートナーを解消するのだろうと思っていた。
私もそう思っていた一人だった。
でも、二人はそうしなかった。

二人がほんの少しの笑顔で、手を振りあうそんな関係にまで信頼を取り戻していたことが、
そのわずかな時間のやり取りを遠目で見かけた私にもわかった。

すごいな、と思った。
そして、うらやましいな、とも。

私がうらやましいな、と感じたのは、
二人が信頼し合っていて、信頼できるパートナーと何気ない日常を過ごしているように見えたから。
毎日の生活は、きっといろんなことがあるはずだけれど、二人の間には揺るぎない信頼があるように見えたから。

じゃあ、自分が、今すぐそういうパートナーを見つけたいかというと
それはそうでもない。

まだ、私自身の生き方が、くっきりはっきりしていないから。
生き方に覚悟がないからかもしれない。

うらやましかったけど、私がパートナーを探すのはまだまだ後回し。

ふわふわとしている毎日を、しっかり掴んで、
毎日を振り返りながら、前を向きながら、歩いて行こうと思う。
だから、誰かをうらやましがるのではなく、自分の価値は自分で決めようと思う。

あの二人は、二人でやっていく覚悟を決めたから
素敵な一瞬を紡いでいけてるんだと思う。

そんなことを感じて考えた、冬の朝。

第四の生き方―「自分」を生かすアサーティブネス

第四の生き方―「自分」を生かすアサーティブネス