トゲトゲ

こんばんは。ちゃばしらです。

詩人・茨木のり子さんの詩に、「苦しみの日々 哀しみの日々」という作品があります。
まずは、紹介しますね。


 苦しみの日々

 哀しみの日々

 それはひとを少しは深くするだろう

 わずか五ミリぐらいではあろうけれど


 さなかには心臓も凍結

 息をするのさえ難しいほどだが なんとか通り抜けたとき 初めて気付く

 あれは自らを養うに足る時間であったと

 少しずつ 少しずつ深くなってゆけば

 やがては解るようになるだろう

 人の痛みも 柘榴のような傷口も

 わかったとてどうなるものでもないけれど

(わからないよりはいいだろう)


 苦しみに負けて

 哀しみにひしがれて

 とげとげのサボテンと化してしまうのは

 ごめんである


 受けとめるしかない

 折々のちいさな刺や 病でさえも

 はしゃぎや 浮かれのなかには

 自己省察の要素は皆無なのだから
:::::::::::::::

ザクロのような傷口、トゲトゲのサボテンという例えが、なんだかよくわかる。
いい詩だな、と思っています。

ネガティブな感情が沸くようなことを
経験して、少しでも人間性に深みが出ればいいけれど、

「なんで、自分ばっかり!」とか「あの人のせいで!」などと思っていると
トゲトゲしちゃう。

隠そうとしても、とっさの声のトーンとか、ちょっとした目線の投げ方で
相手には伝わっちゃう。

そりゃあ、トゲトゲしないのが、一番いいのだけれど、
人間だから、そういう日もあったりする。
最近、私もそんな日があったばかり。


そんなとき、トゲトゲを無理に引き抜くことをしなくても、
トゲトゲした自分を嫌いにならなくても、

トゲトゲしたり、まあるくなったりを
繰り返しながらも、少しずつ深まっていく自分を感じられたらいいなあ。



人の痛みがわかったとてどうなるものでもない
(でもわからないよりはいいだろう)


これくらいの気持ちで。ゆるゆると。